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【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『架空OL日記』『Red』『ロマンスドール』

最近観た邦画3作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。

 

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『架空OL日記』
監督:住田崇/脚本&原作:バカリズム
配給:ポニーキャニオン、読売テレビ/上映時間:100分/公開:2020年2月28日
出演:バカリズム、夏帆、臼田あさ美、佐藤玲、山田真歩、三浦透子、シム・ウンギョン、坂井真紀、志田未来、石橋菜津美

57点
とある銀行に勤めるOLたちに混じって、バカリズムが20代女性という設定で紛れ込んでいる。服装こそレディースだが顔や声はいつものバカリズムなので、何かジェンダーなものに対する壮大な批評的実験のように思えるが、すぐにバカリズムはバカリズムのままで自然と溶け込み、そこへの意味は消失する。特にドラマ性の無いOLの日常描写に、いかにもバカリズムらしい冷めた視点による客観的分析が付け加えられていく。個々の分析内容は興味深いので退屈ではないのだが、さすがにその繰り返しだけでは長く感じる
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『Red』
監督:三島有紀子/脚本:池田千尋、三島有紀子/原作:島本理生
配給:日活/上映時間:123分/公開:2020年2月21日
出演:夏帆、妻夫木聡、柄本佑、間宮祥太朗、片岡礼子、酒向芳、山本郁子、浅野和之、余貴美子

63点
ひとりの女性を主軸として、家庭環境による抑圧と不倫相手との逢瀬による解放を、食事や性交といったシーンを対比させて直接的に解りやすく説明している。そこに薄幸演技のエキスパートこと夏帆の抱える独特の陰と陽が絡み合うことで、説明的状況に尋常ならざる生々しさが発生し、得体のしれないものとなって観客に襲い掛かってくる。この変換処理が見事。
テクニック的な件だが、時間の流れが掴みづらく、何日後なのか何ヶ月後なのか判断に迷うことが多々あった。娘の成長から考えると主人公がデザイン会社(規模は小さくない)で働き始めてから1年も経っていないうちに社内の主戦力になっているが、人並み外れた才能の持ち主である。あと、吹雪の中で立ち寄った定食屋のシーンが2度あるが、あれは同じ日なのか?
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『ロマンスドール』
監督&脚本&原作:タナダユキ
配給:KADOKAWA/上映時間:123分/公開:2020年1月24日
出演:高橋一生、蒼井優、浜野謙太、三浦透子、大倉孝二、ピエール瀧、渡辺えり、きたろう

52点
たまたまかもしれないが、最近観た邦画で立て続けに「ずっと嘘をついていたことを白状するが相手はとっくに気づいていた」というシチュエーションが用いられていた。これでは贖罪の意すら消え去ってしまうのだが、嘘つきを断罪できないのは創り手の小心からくる保身なのだろうか。特に本作は「ラブドール工場勤めを隠して医療関係者と偽る」という双方に失礼な嘘をついたまま何年も結婚生活を送り、その逡巡が物語の推進力となっているはずなのに、「とっくに相手は気づいていた」の一点でそれまで重くのしかかっていた肩の荷は無かったことにされている。そのあと、死期の近い妻が「自分の身体そっくりのラブドールを作ってほしい」と頼むのは理解できるものの、死後に妻の名前を商品名にして一般販売するのは話が違ってくるのでは。
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