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【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『ファンシー』『フェイクプラスティックプラネット』『37セカンズ』

最近観た邦画3作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。

 

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『ファンシー』
監督:廣田正興/原作:山本直樹
配給:日本出版販売/上映時間:102分/公開:2020年2月7日
出演:永瀬正敏、窪田正孝、小西桜子、深水元基、長谷川朝晴、吉岡睦雄、ガンビーノ小林、つぼみ、尚玄、川口貴弘、榊英雄、佐藤江梨子、外波山文明、宇崎竜童、田口トモロヲ

58点
山本直樹の短編漫画ではペンギンであった役柄を、ペンギンコスプレの人間(窪田正孝)にしてしまった時点で、原作における純文学的エロスは失われるのが道理であろう。映画のために付け加えられたヤクザ絡みのサイドストーリーのほうが濃厚なジャンルムービーに仕上がっているために、原作準拠の箇所だけ浮いているような本末転倒の結果に。主演の3人よりも田口トモロヲや吉岡睦雄など、閉塞した地方の住民にピッタリな脇役ばかり印象に残る。
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『フェイクプラスティックプラネット』

監督&脚本:宗野賢一
配給:アルミード/上映時間:73分/公開:2020年2月7日
出演:山谷花純、市橋恵、越村友一、五味多恵子、長谷川摩耶、大森皇、右田隆志

61点
洗濯物が縦横無尽に吊るされたネットカフェなど、全体を通してリアルとフェイクが混ざり合ったような不安を煽られる空間で、手持ちカメラによる撮影によって混沌は更に増幅されている。デリヘルで日銭を稼ぐネカフェ難民の少女が、25年前に失踪した女優と容姿が瓜二つであることから、運命に吸い寄せられるかのように混沌の奥底に潜り込んでいく。拳銃まで手に入れながらクソみたいな世界の破壊を拒否し、真理に辿り着く前に強引に幕引きする主人公には観ている間こそ物足りなさを覚えるが、混沌と折り合いをつけるのが現代の生きる術なのかと考え直すと一転して魅力的にも思えてくる。
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『37セカンズ』

監督&脚本:HIKARI
配給:エレファントハウス/上映時間:115分/公開:2020年2月7日
出演:佳山明、神野三鈴、大東駿介、渡辺真起子、熊篠慶彦、萩原みのり、芋生悠、渋川清彦、宇野祥平、奥野瑛太、石橋静河、尾美としのり、板谷由夏

66点
ここ数年の邦画で増えてきた、車椅子使用者を主人公とした作品。いわゆる"障碍者"を取り巻く社会に対する問題提起のような前半から、極めて個人的なものへと物語が小さくなるにつれて、むしろテーマは逆に普遍性を帯びて我々を包括してくる。その華麗な流れには感嘆するし、今の日本では車椅子使用者を主体性のある個人として描くだけでも意味あるものになってしまうのだろう。惜しむらくは、漫画家志望の主人公の想像力が活発だったり、舞台が一気に海外まで飛ぶところから期待されるような、幻想的な世界の創造までには至っていないところか。あとこれは本当に野暮な問いだけど、パスポートはどうしたんだろう。
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