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【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『いなくなれ、群青』『かぞくあわせ』『タロウのバカ』

最近観た邦画3作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。

 

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『いなくなれ、群青』
監督:柳明菜/脚本:高野水登/原作:河野裕
配給:KADOKAWA=エイベックス・ピクチャーズ/上映時間:105分/公開:2019年9月6日
出演:横浜流星、飯豊まりえ、矢作穂香、松岡広大、松本妃代、中村里帆、伊藤ゆみ、片山萌美、君沢ユウキ、岩井拳士朗、黒羽麻璃央

68点
ちょっとした村上春樹みたいな原作小説の映像化としては、ただひとつの正解を導き出しているのではないか。ふわふわとした世界観を映像にする場合は具体的な要素の肉付けを行うのが一般的だが、本作の場合は原作のふわふわ感をどれだけ再現できるかに尽力している。小さな島には不釣り合いな人の多さも、あえての観念的な説明セリフも、モヤのかかったような色調も、原作の世界観の創出を助けている。そんな監獄のような楽園に、ある種の異物として投入される飯豊まりえの存在は、希望と絶望の相反する2つを同時に備えていて、圧倒される。

 

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『かぞくあわせ』
監督:長谷川朋史、大橋隆行、田口敬太
配給:ルネサンスデザイニング/上映時間:92分/公開:2019年9月7日
出演:しゅはまはるみ、藤田健彦

53点
主演2人と舞台となる結婚式場を同一とした、2本の短編と1本の中編によるオムニバス。短編2本は、ベタなSF要素によるワンアイデアによって押し切ろうとしてくる。2本ともに共通するが、いくら短編とはいえ、初端だけでなく結末にも一捻り欲しいところ。最後の中編は、逆光の暗い画面の中で、ほぼ真っ黒の影みたいな人物たちが長々と会話するシーンが羅列される。雰囲気だけを武器に踏ん張っているが、どのシーンも切り口が同じなために、さすがにそれだけでは長くて飽きてくる。

 

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『タロウのバカ』
監督&脚本:大森立嗣
配給:東京テアトル/上映時間:119分/公開:2019年9月6日
出演:YOSHI、菅田将暉、仲野太賀、奥野瑛太、豊田エリー、植田紗々、國村隼、角谷藍子、門矢勇生、荒巻全紀、ACE、葵揚、水澤紳吾、池内万作、伊達諒、中島朋人、大谷麻衣、播田美保、水上竜士、小林千里、原沢侑高、伊藤佳範、大駱駝艦

56点
底辺の若者の叫びというものは、邦画において、ひとつのジャンルになってしまった。このジャンルの場合、登場人物の頭が悪くなくてはいけないのだが、頭が悪すぎると物語を紡ぐことすらできないというジレンマがある。本作の場合、タロウら主人公だけではなく、一応は搾取側であり拳銃を奪われた吉岡(奥野瑛太)までもが刹那的な衝動でしか動かないので、なかなか話は進まない。過去作からも少し感じるが、大森監督にとって底辺の若者は自己承認のためのツールとしか思っていないのではないか。役者の魅力のみに寄り掛かり、彼らの口を借りて肥大した自意識を叫ばせるのは、持てる者による蛮行であろう。

 

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