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【邦画】最近観た邦画感想レビュー(ネタバレ含)--『火口のふたり』『二ノ国』『正しいバスの見分けかた』『なれない二人』

最近観た邦画4作のレビューです。一応、ネタバレにはご注意を。

 

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『火口のふたり』
監督&脚本:荒井晴彦/原作:白石一文
配給:ファントム・フィルム/上映時間:115分/公開:2019年8月23日
出演:柄本佑、瀧内公美

62点
荒井晴彦の監督としては3作目。とにかく性愛行為こそが映画であるという対する迷いなき確信から、説明調のセリフを合間に入れつつ、ひたすらSEXシーンを繰り返す。この妄信からくる潔さは、意外と嫌みがなく小気味いい。あとは、それを映画に取り込むのは当たり前と言わんばかりの東日本大震災や自衛隊に対する露骨な言及が、荒井監督の作家性を際立たせる。何度か登場する役者のカメラ目線(一応、微妙に外しているが)によるゾクゾクとする違和感は、師匠にあたる若松孝二監督作品を思い起こさせる。

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『二ノ国』
監督:百瀬義行/脚本:日野晃博/原作:レベルファイブ
配給:ワーナー/上映時間:103分/公開:2019年8月23日
出演:山崎賢人、新田真剣佑、永野芽郁、宮野真守、坂本真綾、梶裕貴、津田健次郎、山寺宏一、伊武雅刀、ムロツヨシ

39点
すでに世間では非難轟々のアニメ映画。別に突拍子もなく狂っているわけでもなく、全てにおいてヘタなだけなので、B級カルト作品になることもできない。脚本については、わざわざ話を展開するためだけに各キャラクターが超絶論理を披露しては無理筋な行動を始めていて、呆気にとられる。作画が間に合わなかったのかカクカクな動きになってしまっているのは同情もするが、せめて見せ場だけはちゃんとしてほしかった。お姫様が湖上で踊る「魔封じのダンス」が、紐の絡まった操り人形みたいに奇怪な動きで、悪夢に出そうなレベル。永野芽衣は、この手のヒロインを演じるには声が低くて大人っぽいんだよな。

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『正しいバスの見分けかた』
監督&脚本:高橋名月
配給:スタジオブルー/上映時間:25分/公開:2019年8月23日
出演:中条あやみ、岡山天音、萩原みのり、葉山奨之

56点
2015年に撮られた25分の短編映画。当時は今ほど有名でなかった中条あやみと岡山天音が高校生を演じる。話としては高校生たちのちょっと変わった会話劇なのだが、中条あやみの特殊な存在感が露わで、淡い色調の画面とマッチしていて、それだけで引き込まれる。この人、ちょっと過去に類を見ないほどの神秘性があるので、邦画界は大切に育ててほしいと切に願う。路線バスを停車させたままでのぼんやりとした会話は、運転手や乗客からしたら迷惑で少し苛立つが。

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『なれない二人』
監督&脚本:樋口幸之助
配給:スタジオブルー/上映時間:51分/公開:2019年8月23日
出演:泉澤祐希、古川彰悟、高田里穂、小川未祐、依藤昂幸、三宅克幸、本間淳志、新海ひろ子、一條眞紀子、ふじわらみほ、竹林佑介、村田唯、宇井晴雄、北尾貢次、平子悟、田村泰二郎

58点
コンテストを直前に控えたフリーの芸人コンビそれぞれの、ちょっとしたトラブルを描く。ベタでありつつ個性もあるキャラクター造形は、いずれも微妙な匙加減を備えていて、なかなか面白い。冒頭シーンでは社会性の欠如した変人だったのだが、その少し後では真っ当な行動をするなど、脚本的にちょっと飲み込みづらい件が多々あるのが気になる。

 

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