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【邦画】『4月の君、スピカ。』ネタバレ感想レビュー--ヒロインを陥れたいはずのギャル女子の行動が不可解すぎる

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 監督:大谷健太郎/脚本:池田奈津子/原作:杉山美和子
配給:イオンエンターテイメント/上映時間:99分/公開:2019年4月5日
出演:福原遥、佐藤大樹、鈴木仁、井桁弘恵、夏目かな、南山あずさ、大原優乃、大谷亮平、酒井美紀

 

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53点

ボクは長野県出身なのだが、この映画の舞台となる千曲市って聞き覚えが無いなあと思っていた。そしたらやっぱり平成の大合併で誕生した市だった。姥捨山のあるところか。舞台となる高校の名前だったりと、「千曲市」という単語は劇中で目につくが、観光スポットや名産品が出てくるわけではない。何度もある空撮や満天の星空などにより、抽象的に豊かな自然が残っていることをアピールしているようだ。ご当地映画のゲスさが感じられないのは好印象だが、エンドロールに「特別出演 千曲市長」と出てきたときはモヤモヤした。結局、そういうことなのか、と。

4月の君、スピカ。(1) (フラワーコミックス)

4月の君、スピカ。(1) (フラワーコミックス)

 

 
東京から転校してきた女子高生・ 早乙女星(福原遥)は、初日の挨拶で「田舎」と連呼してしまったことで友達ができずじまい。ひとり廊下の窓から夜空の星に話しかけている(うわぁ…)と、物静かなイケメン・大高深月(鈴木仁)が現れる。深月がおもむろに天体望遠鏡を見せると、「望遠鏡」とつぶやく星(あ、これはヒロインの名前「せい」ね。ここから先の文章に出てくる「星」は全て「せい」です)。えーと、何度も言っているけど、目にした物の名前をそのままつぶやくの、やめてくれないかな。そのせいで上映時間が無駄に長くなるから。

深月に誘われ、星は天文部に入ることになる。天文部の他のメンバーは、深月と幼馴染の親友で茶髪に赤いシャツのイケメン・宇田川泰陽(佐藤大樹)のみ。セオリー通り、星と泰陽はすでに「最悪のファーストコンタクト」を経験済である。こうして、ヒロインと、彼女が恋焦がれる物静か系のイケメン、彼女と喧嘩ばかりのやんちゃ系のイケメンという、黄金の三角関係が誕生する。

さて、友達のいない転校生が、急に学校の2大イケメンと仲良くなったので、ギャル風のクラスメイトは気に入らない。さっそく、あの2人にあんたみたいなのが近づくなと、星に忠告してくる。それにしても、2大イケメンの所属する天文部に、他に部員がいないのはどういうことなんだろう。ともかく、泰陽は星のことが気になりつつも星の深月に対する恋を見守り、深月は泰陽の星に対する気持ちに勘づいて星と距離を取ろうとしたりと、まあ甘い学園生活が始まる。

しかし星は全教科で学年最下位を取るほどのアレなので、担任教師に皆の前で叱責される。そこに「勉強ができないのに部活に入っているなんて」「なんだっけ、あのバカ部」などと囃し立てるギャル女子。これさあ、その場に泰陽もいるんだからね。天文部そのものを標的にしたら泰陽から嫌われるだけなのに、何が目的なんだろう。周囲から攻撃される星を見かねた泰陽は「俺が星に勉強を教える。それでいいだろ」と宣言し、これまで以上に密着する毎日となる。

それ以後も2人でいるところをバカにするギャル女子(だからそれは泰陽がいないところでやれよ)。ついには星と泰陽がいるところをスマホで隠し撮りし、「星が泰陽に告白していた!」と写真をバラ撒く。この手の映画でたまにあるシーンだけど、陥れたい女子とイケメンが2人でいる写真をバラ撒くことで、どういう効果を狙っているんだろうか。ギャル女子は泰陽を取り囲んで「告白されて、かわいそう」とか言っていたが、星が嫌われるようなことをしているわけでもなく、泰陽の気が惹けるわけでもないのに。泰陽は、全校集会で校長(たぶんこの人が千曲市長)が登壇しようとしたところを遮り、全校生徒の前で「星が俺に告白したんじゃなく、俺が星に告白したんだ!」と宣言し、星の前に進んで観衆の面前で改めて告白する。ショックで騒ぎだすギャル女子。いや、自業自得だと思うけど。

深月のことが好きな星は泰陽の告白を保留し、しかし深月は「もう、お前と同じ女を好きにならない」と泰陽の恋を応援する。三角関係が微妙にギクシャクしたところで、新たな転校生・天川咲(井桁弘恵)が登場する。イケメン2人と昔からの知り合いらしく、露骨に泰陽とベタベタする咲。その様子にギャル女子は「あんた、早く泰陽を取り返しなよ」と星にけしかける。なぜなら「あんたなら奪えるけど、あの美人で成績もトップの女が相手だと叶わないから」だって。どういう理屈だか解らん。ギャル女子たちは泰陽を彼氏にしたいってことか。だったら、直接アタックするのが、一番手っ取り早いだろうに。

実は病弱だった咲は、ある時ついに学校で倒れる。お姫様抱っこで助ける泰陽。咲の寝ている病室にいると、咲の兄 弟が現れて、「バカにしに来たのか。帰れ」と泰陽に言う。一応、 姉を助けた恩人なんだがな。追い出された泰陽は、こっそり病院に来ていた星に、過去の話をする。たしか、泰陽は咲とデートの約束をしたんだけど、深月も咲のことが好きだったので、行くことができなかったんだっけ。そこに大雨が降ってきて病弱の咲が倒れて病院に運ばれた、と。泰陽が「行っていれば助けられたかもしれない」と自責の念に悩むのは解らなくもないが、一緒にいたところで同じく病院に運ぶだけだと思うけど。結局、助かっているわけだし。そして、回想シーンでも病院に駆け付けた泰陽を問答無用で殴る 父親。この家族、マジで咲が病弱で倒れる全責任が泰陽にあると考えているみたい。責任転嫁も甚だしい。

※ 後注:帰れと言ったのは弟、回想シーンで殴ったのは父親らしいです。

なんだかんだで泰陽は咲に「星が好きだ」と伝えて、咲は「私、泰陽にフラれるためにこの学校に来たのかも」とか言い出す。散々自分勝手に引っ掻き回しておいて、この女も大概だよな。で、泰陽と深月が星への告白をかけて水泳対決をして、泰陽が勝って星と付き合うことになったんだっけか。なぜかオチがよく思い出せない。あとこの映画、どの人物もセリフの前後に無意味に間を作るんで、なかなか話が先に進まない。深月だけなら、そういうキャラクター上の演出ということにできるけど、全員だよ。

 

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