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【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『ひかりの歌』『天然☆生活』『美人が婚活してみたら』

 

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例によって、多少のネタバレ注意です。

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『ひかりの歌』

監督&脚本:杉田協士
配給:Genuine Light Pictures/上映時間:153分/公開:2019年1月12日
出演:北村美岬、伊東茄那、笠島智、並木愛枝

72点
「光」をテーマにした短歌コンテストに応募された4首の歌を元にした、4章構成の作品。『源氏物語』から続く日本文学の最重要テーマ「誰かに対するほのかな想い」を、ありふれた小道具を用いて見事に表現している。決定的な事件が起こらない代わりに、あくまで日常を営む中で生まれる小さな心の動きに惑わされつつ向かい合う様子を眺めていると、単純に心地よく軽やかな気持ちになる。適度に配置された役者ではない市井の人々も、悪目立ちせずに日常風景を補完している。ただ、それぞれの話が繋がっているという技巧的な仕掛けが、本作の場合だと微妙にノイズになってしまっているか。

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『天然☆生活』

監督:永山正史/脚本:鈴木由理子、永山正史
配給:Spectra Film/上映時間:96分/公開:2019年3月23日
出演:川瀬陽太、津田寛治、谷川昭一朗、鶴忠博、三枝奈都紀、秋枝一愛、岡田亜矢、関口篤、はやしだみき、百元夏繪、才藤了介、諏訪瑞樹、木村知貴、満利江、湯舟すぴか、長尾卓磨

64点
捉えどころのない話であった。田舎生活を送る腐れ縁のおじさん3人がいるのだが、ひとつのシーン内で急に関係性が変化したりして、観ている側は混乱する。主人公から家や友人など全てを奪っていったロハス一家への復讐譚のようではあるが、旦那ひとり爆死させただけで状況にさしたる変化もなく、留飲を下げることもままならない。もっと純然たる悪意があれば、普通のエンタメとして成立していたであろう。しかしこの型にはまっていない不安定さが、本作の一番の魅力となっているのも事実である。

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『美人が婚活してみたら』

監督:大九明子/脚本:じろう/原作:とあるアラ子
配給:KATSU-do/上映時間:90分/公開:2019年3月23日
出演:黒川芽以、臼田あさ美、中村倫也、田中圭、村杉蝉之介、レイザーラモンRG、市川しんぺー、萩原利久、矢部太郎、平田敦子、成河

59点
吉本興業の制作で、脚本がお笑いコンビ「シソンヌ」のじろうなのだが、むしろ演出面でコントのような描写が目立つ。どんな観客にも一瞬で状況を理解させるために、まずアナクロな人物造形を示す手段は、コントという形態だからこそ許されているわけで、映画でこれをやってしまうと奥行の無さが露呈してしまう。「婚活あるある」になってしまったのは、創り手の意図ではないであろう。結婚どころか婚活そのものを目的化している主人公の滑稽さは伝わるものの、最後までアナクロ描写のままがゆえに想定の範囲内の結論で落ち着いてしまい、物足りなさが残る。

 

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