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【邦画】最近観た邦画感想レビュー---『岬の兄妹』『疑惑とダンス』『空の瞳とカタツムリ』『月夜釜合戦』

 映画を観た直後の感想って、どこかに書いておかないと忘れちゃうもんで、自分用の備忘録みたいなものです。多少、ネタバレあるかもしれないので注意です。

 

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『岬の兄妹』
監督&脚本:片山慎三
配給:プレシディオ/上映時間:89分/公開:2019年3月1日
出演:松浦祐也、和田光沙、北山雅康、中村祐太郎、岩谷健司、時任亜弓、ナガセケイ、松澤匠、芹澤興人、荒木次元、杉本安生、風祭ゆき

56点
片足が悪く仕事を解雇された男が、ふたり暮らししている自閉症の妹に売春させて生活費を稼ぐという内容に加えて、精液や人糞といった目を背けがちなものをそのまま画面に映すなど、露悪的な刺激の羅列がひたすら並んでいる。その強すぎる刺激が表層を覆っていることで、物語の深い部分に何も無いことを誤魔化しているかのようであり、逆に無害さしか感じない。後半で、主人公の男がある人物に心情を吐露して殴り掛かるのだが、そこに至るまでの積み重ねがされいないので唐突に感じる。イオンシネマで公開されたことも刺激を補強し、そのため話題作となったが、もしもユーロスペースのレイトショーであれば「いつもの、よくあるやつ」で終わっていた気がする。

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『疑惑とダンス』
監督:二宮健
配給:フラーム/上映時間:53分/公開:2019年3月2日
出演:徳永えり、木口健太、小村昌士、福田麻由子、川面千晶、小林且弥

41点
6人の役者に設定だけ与えて、あとはアドリブで演技をさせる台本無しの作品。企画が立ち上がってから1週間後には撮影を決行したという。元々はイベント用の映像なのでこれでもいいのだが、映画と言う尺度で捉えると目も当てられない無残なものになっている。冒頭、結婚パーティーが始まる直前に新郎に対して友人の男が「昔、新婦と寝た」と唐突に暴露する。状況からして絶対に言ってはいけないことを淡々と伝えるこの男は、異常者としか思えない。脚本や演出が介入していれば、つい酔った勢いでなどと説得力を持たせられるはずなのに。事実関係も役者の間で共有されていないので、互いに探りながら全員が「自分だけは正しいと思い込む異常者」になろうと必死で声を張り上げる。それ以外に正解はないので仕方ないが、もちろん、その先には何もない。上映時間が短いのと、一応の演出が入っているため鑑賞に堪えうるインターバルとラストのダンスが、せめてもの救い。

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『空の瞳とカタツムリ』
監督:斎藤久志/脚本:荒井美早
配給:太秦/上映時間:120分/公開:2019年2月23日
出演:縄田かのん、中神円、三浦貴大、藤原隆介、利重剛、内田春菊、クノ真季子、柄本明

57点
タイトルは相米慎二監督『風花』のタイトル変更案から。不思議な三角関係+1人による妙に観念的でぎこちない会話の間に、過剰に意味が付加した性行為が挟まってくる。特異なキャラクター設定も相まって日常から半歩だけズレた虚構性があり、作品テーマとは反したふわふわとした浮遊感が意外と心地よい。「映画の中に登場する映画館」を愛でる者としては、ピンク映画館としてロケに使用された高崎電気館の雰囲気が素晴らしかった。

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『月夜釜合戦』
監督&脚本:佐藤零郎
配給:?/上映時間:115分/公開:2019年2月23日
出演:太田直里、川瀬陽太、門戸紡、渋川清彦

61点
大坂の釜ヶ崎(いわゆるドヤ街です)を舞台に、住民たちが釜を奪い合って大騒ぎするというダジャレ先行のふざけた話。釜ヶ崎という地域における重い現実が根底にありつつ、あくまで馬鹿馬鹿しさを大事にしてポップさを忘れない精神に、こちらも感化されて楽しくなってくる。話そのものは無理がある(そもそも、ヤクザたちが街中の釜を買い取る意味が解らない)うえに取っ散らかっていて映画としての完成度は低いのだが、地元住民にも役者の真似事をさせたりと地域と一体となって遊んでいる感じに、なぜだか勇気づけられる。あべのハルカスが一瞬だけ映るところに、大きなメッセージを感じた。

 

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