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【邦画】『ヌヌ子の聖★戦~HARAJUKU STORY~』ネタバレ感想レビュー--とりあえず、西岡徳馬は何の役にも立っていなかった

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監督:進藤丈広/脚本:濱田真和
配給:SAIGATE Inc.=U.F.O.カンパニー/公開:2018年11月09日/上映時間:99分
出演:吉田凜音、久間田琳加、中山咲月、糸瀬七葉、横田真悠、内田珠鈴、ホーチャンミ、西岡徳馬

 

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55点
ともに20歳過ぎくらいと思われる田原葵(吉田凜音)と三好里奈(久間田琳加)は、「ヌヌ子」という双子コーデ(2人で似たコンセプトのファッションをするみたいなことらしい)のユニットを組んで、原宿で大人気であった。ある日、何をやっているかよく解らないおじさん・ハイジ(西岡徳馬)を通じて、新人バンドのPVに出演する。撮影時はノリノリだった2人だったが、できあがったPVは明らかに里奈がメインであった。葵は憤慨するが、一方の里奈はハイジから「ヌヌ子のまま、ずっとやっていくの?」と煽られて、ひとりで芸能事務所の面接に行ってしまう。

面接では小さい声でロクに質問にも答えられない里奈だったが、呆れて去ろうとする社長に向かって「私は、三好里奈になりたい!」みたいなことを言ったら、なぜか社長の心を掴んで、事務所に所属することになる。雑誌や広告のモデルなどひとりで精力的に活動する里奈。一方の葵は、ハイジからのお情けで里奈が原宿をレポートする番組のアシスタントになるが、台本通りにやらずはっちゃけたうえに禁句の「ヌヌ子」というワードを出してプロデューサーから怒られる始末。

※ ちなみに劇中で何度か、急に画面の横からミュージシャンが入りこんで歌いだすというPV的な演出がある。葵がプロデューサーから怒られた後もよく知らないバンドが葵を取り囲んで歌いだすのだが、その後ろでさっきまで激怒していたプロデューサーが笑顔で踊っているのだ。これに関しては、意図が全く解らない。

これ、セオリー通りなら、「ヌヌ子」という2人組としてしか見られない状況に対して「私個人のことも見て!」と主張するものだけれど、この話は逆なんだよね。ひとり立ちしようとしている里奈ではなく、「ヌヌ子」にこだわり続ける葵のほうが実質的な主人公で、基本的にそちらを是としている。別にそれでもいいんだけど、そのためのお膳立てが説得力に欠ける。

ハイジも事務所社長も、里奈から「ヌヌ子」という経歴を消し去って葵からも引き離そうとするんだけど、その行動原理が理解できない。原宿というニッチな場所とはいえカリスマ的な人気を誇る「ヌヌ子」というユニットを話題にして売り出して、そのあとに個人活動に移行していったほうがいいと思うんだけど。ピンだったら、ただのオシャレなだけの女の子なんだし、双子コーデというオリジナルの強みを利用しない手はないのに。里奈の気持ちを汲んだということなんだろうけど、そもそもがハイジからけしかけたわけだし、面接の発言も別に胸を打つものでもないし。

さらには、どう考えても、タレント性があるのは里奈より葵のほうなんだよね。ボクが読モ上がりの芸能人をバラエティ番組でしか知らないからかもしれないけど、見た目よりもトーク力とかキャラクター性とかのほうが重要なんじゃないか。先述したアシスタント出演の時も、葵は持ち前の明るいキャラクターを存分に発揮している。別に不快ではないし、アドリブであれだけできる技量と度胸は大したものだよ。藤田ニコル(ちなみに本人役で特別出演している)くらいには、すぐなれそうだけど。

ともかく、事務所社長は人格否定のようなレベルで葵を里奈から引き離そうとするが、里奈は憧れの先輩モデルの「夢は世界平和」という発言から格の違いを思い知り(なんでだよ)、己の非力さに耐えられず失踪してしまう。葵を通じて連絡を受けたハイジは、自らのネットワークを使って原宿・渋谷の人々に「里奈を探せ」と伝達するが、知らない人々に追いかけられる里奈は恐怖を感じて逃げ惑う。ハイジ、この話の元凶のくせに何一つ役に立っていないし、年長者として若者に何かしら諭すようなこともしないし、最初から最後までずっとただのクズである

まあ、決定的に何かが変化するわけでもなく、妥協ともいえるような感じで終わったのは、好ましかったけれど。実は、意外と言っては失礼だが、「ヌヌ子」を演じた2人の演技がけっこう巧くて驚いた。だからこそ、この話のおかしさが際立ってしまったとも言えるのだが。あと、最初のほうで里奈はダンディなおじさんと高級料理店みたいなところから出てきてお金を貰っていたけど、その件については一切説明が無かった。アレは何だったんだ?

 

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