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【洋画】『悪女/AKUJO』--ビュンビュン動き回るカメラは斬新だが、そのせいで肝心のアクションがちゃんと観られないのは・・・

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監督:チョン・ビョンギル/脚本:チョン・ビョンギル、チョン・ビョンシク
配給:KADOKAWA/公開:2018年2月10日/上映時間:124分
出演:キム・オクビン、シン・ハギュン、ソンジュン、キム・ソヒョン、キム・ヨヌ

 

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65点
最近はPOVっていうんですか、この映画は主人公である女殺し屋の主観映像から始まる。主観映像で有名な映画といえば、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『パラノーマル・アクティビティ』『クローバー・フィールド/HAKAISYA』なんかがあるが、これらはフェイクドキュメンタリーでもあり、人物ではなく撮影しているカメラの視点である。対して本作『悪女/AKUJO』のオープニングは、主人公の目線がそのまま映像となっている。

なので、画面下から両手が伸びていて、ナイフを掴んだり拳銃に弾をセットしたりするのだ。TVゲームでよくあるやつ。これ、スクリーンという大画面で観ると、なんだか落ち着かない。敵アジトの屈強な男たちをなぎ倒しながら奥へ進むシーンをワンカットのように見せていくアクションは本当にスゴいのだが、こういう主観映像に慣れていないので、どうしても戸惑ってしまう。

敵アジトの本丸に乗り込んだ後、鏡を見ることで初めて主人公である女殺し屋のご本尊が拝めるという仕掛け。その瞬間、主観映像から客観的なカメラへと切り替わる。この一瞬は素晴らしかった。そこからボスキャラとの華麗なるアクション対決を四方八方からカメラで捉える。ここ、どうやって撮影しているのか全く解らないくらいカメラがビュンビュン動き回るし、相当に手間のかかったシーン(なんせ鏡もあるし)なのだが、同時に何が起こっているのかもよく解らない。誇張でもなんでもなく、蠅みたいにカメラが動いているから、ちゃんとアクションを観たいのに落ち着いて観られないというジレンマが発生している。

この作品、今までにないような革新的なアクションが売りで、たしかにその通り素晴らしい動きをしているのだが、カメラまで動き過ぎてしまっている。いや、このカメラワークも今までにない斬新なもので、売りの一つなのだが、そのせいで観づらくなってしまっているのは本末転倒のような。いや、そういうのを差し引いてもスゴいんだけど。

バイクスタントのところとか、何がどうなっているのか解りづらかったなあ。あとラストシーン(決着がついた後)も、技巧的なカメラワークには感心するけど、状況の把握に一瞬手間取ってしまうのが、どうにも痛し痒し。

まあでも、今まで映画館で観たことないモノを観たい人にとっては充分な作品だとは思います。一応ちゃんとストーリーも練られているし。凄腕の殺し屋なんだから感情を捨てたサイボーグみたいな人かと思ったら、割と情に流されっぱなしだったのが意外だったが。まあ、そこは韓国らしいし、好みの問題か。あと、殺し屋教育を終えて外に出たあと、彼女がどれくらいの実績を残しているのかは映像で示してほしかった。失敗したシーンしか無いのはねえ。

 

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