ヤガンEX

映画とか漫画とか似顔絵とか

【邦画/アニメ】『ガールズ&パンツァー 最終章 第1話』--時間が足りないのなら、時間を延ばすという手段を取る

f:id:yagan:20171218224448p:plain
監督:水島努/脚本:吉田玲子/アニメーション制作:アクタス
配給:ショウゲート/公開:2017年12月9日/上映時間:47分
出演:渕上舞、茅野愛衣、尾崎真実、中上育実、井口裕香

 

スポンサードリンク
 

 


72点 ※ 暫定
先に断っておくと、『ガールズ&パンツァー』には並々ならぬ思い入れがある。いくら冷静にレビューを書こうとしても、ついついパッションが先走りして言語化が追いつかず、「ガルパンはいいぞ」状態になってしまうのは仕方ないことだ。とは言っても、ここであえて表明しておきたいのは、『ガルパン』は劇場版からハマっていて、TVアニメ版は今でもそこまで好きなわけではないのである。

とは言っても、TVアニメ版だって何回も観ているのだけれど、人に強く薦めるほどではない。戦車道というアイデアは面白いが、プロットも、デザイン描写も、他のアニメよりちょっと上程度という感想である。逆に言えば、2年前の劇場版が細部に至るまで精密な描写であったということだが。狂気を感じるほどの。

TVアニメ版と劇場版の差は、結局のところ、作品にかけた時間の差によるのだろう。TVアニメ版における物足りなさは、時間さえあれば解決できることが多い。最後2話だけ放映が3か月先に延びたのも、制作時間が無かったからだし。

さて今回の最終章第1話。全6話ある中の1つで、たったの47分。これをどう捉えるかは人それぞれだが、個人的には「これから6回も新しい衝撃を味あわせてくれるなんて」という喜びが大きい。ちょっとづつ小出しにしていくことでこちら側のガルパンロスを極力小さくし、なおかつ制作陣にとってはある程度の時間的余裕を生み出せるのだから、良いじゃないか。あと、最終的に6話連続で観たとき、あのオープニングが6回も観られるなんて最高じゃないか。6話連続上映、立川の頭おかしい映画館(褒めてます)は絶対にやるだろうなあ。

第1話の最後に次回予告が無かったのも、単純に間に合っていないからだと予想している。時間軸は不明だが、パンフレットでインタビューされている声優たちも、第2話以降の展開は全く知らされていない。どっちが試合に勝つかのさえ、まだ明らかにされていないのだ。制限時間内に収めるべく中途半端な完成度の作品を世に出すくらいならば、あらゆる手を使って締め切りを伸ばすという手段を取る。里見大臣が行った手法だ。

さて、肝心な最終章第1話の中身だが、なんだかんだでさすがなのは、試合の途中で終わっているのに、ちゃんと一応完結した話になっているんである。第1話ってのを言い訳にして世界観の概要説明だけでお茶を濁すヤツが多すぎるんだけど、そういうごまかしばかりする人は、『ガルパン』を見習ってほしい。『GODZILLA 怪獣惑星』の人たち、わかりましたか?

何より大胆なのは、冒頭で「主人公たちがピンチになるシーン」の一部を明らかにすることで、ある程度の試合の展開をバラしているのである。これが特にマイナスポイントにならないのが『ガルパン』である。試合が始まると、「冒頭で見たピンチがこれから来るけど、どうやって乗り切るんだろう」という気持ちになるので、興奮は途切れないのだ。

実は、第1話での試合シーンは、意外と短い。この短さが気にならないのは、冒頭のピンチシーンからくる興奮のおかげだ。逆に試合シーンをこれ以上長くすると、いやもうこの後の展開知っているから、という気持ちになってしまうし。この構成、絶妙なバランスの上で成り立っている。

そんなおかげで、前半は魅力的な新キャラクター紹介に費やされていて、戦車もあまり出てこないにも関わらずワクワクが止まらない。既存キャラクターとの掛け合いによって新キャラクターの魅力を引き出していくのは、シリーズものとして極めて正しい。3DCGIの意味ある無駄遣いも良かったし。あと、この短さにもかかわらず大量の既存キャラたちにちゃんとセリフを与えているのも、地味にすごい。やっぱりそれなりの制作時間とセンスが無いと、こういうことはできない。

まあ、そんなこんなで「ガルパンはいいぞ」ハイは来年も止まらなそうです。継続高校のジャージ、買っちゃったし。2018年は、これ着てジムに通うんだ。

 

スポンサードリンク
 

 ------

ガルパン劇場版レビュー

yagan.hatenablog.com