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【邦画】『彼女がその名を知らない鳥たち』感想レビュー--「沼田まほかる原作」という、新たな惹句

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監督:白石和彌/脚本:浅野妙子/原作:沼田まほかる
配給:クロックワークス/公開:2017年10月28日/上映時間:123分
出演:蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、村川絵梨、中嶋しゅう、竹野内豊

 

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57点
偶然なのか誰かの謀略なのか知らないが、立て続けに沼田まほかる原作の映画が公開された。『ユリゴコロ』と、本作『彼女がその名を知らない鳥たち』の2作。なぜ、ここにきて急に沼田まほかるブームが到来したのか。そもそも、ブームなのか。

彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)

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沼田まほかる作品については、昔に1冊読んだだけなので、何とも言えない。ただ映画に関しては、『ユリゴコロ』も、『彼女がその名を知らない鳥たち』も、なぜか似たような風味がある。配給も違うし、監督もクセのある人(『ユリゴコロ』は熊澤尚人)だし、もちろんストーリーも違うのだが、沼田まほかるという強烈な材料のせいで、何やっても独特の臭みが取れないみたいである。パクチーみたいだ。

『彼女がその名を知らない鳥たち』は、特に主演2人の役者魂というか、新たに演技の幅を広げたという文脈でとらえられがちである。怠惰でクレーマーなクズ女を蒼井優が、不潔でストーカーなダメ男を阿部サダヲが演じている。確かにどちらも、これまで演じてきた役柄とは違うかもしれない。蒼井優はともかく、今まで戯画的な役柄が多かった阿部サダヲにとっては、オシャレ度皆無の無精ひげ姿はたしかに新境地かもしれない。

一方で、ストーリーは凡庸だとも思うのだ。風呂敷の広げ方と、ちゃんと畳んでいく様はいいのだが、そこから現れる真実のなんとありきたりなことよ。特に、ヤマ場で挟まるダラダラとした回想は頂けない。この長すぎる回想のせいで、せっかくここまで盛り上げてきたものが急速に収束していく。どんな映画であれ、テーマの説明を懇切丁寧にしてしまうと、途端に面白みが無くなってしまうものだ。

話は戻るが、この映画のアイデンティティは「役者が、新たに演技の幅を広げた」ということであろう。それは有村架純がラブシーンを演じて話題となった『ユリゴコロ』も同じだ。これからも、「沼田まほかる原作」という惹句は、役者が演技の幅を広げるがために、使われるのだろうか。でもそれってあくまで付加的なものであって、映画の本質的な価値とは違う気もするのだが。

彼女がその名を知らない鳥たち 特別版 [Blu-ray]

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