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【邦画】『ニコトコ島』『石と歌とペタ』--何も積み重ならないモラトリアムの心地よさ

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監督&脚本:大力拓哉、三浦崇志
出演:松田圭輔、大力拓哉、三浦崇志

 

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ともに54点
シアター・イメージフォーラムでレイトショー上映されている「大力拓哉・三浦崇志 監督特集」という特集を観に行ってきた。寡聞にして知らなかったのだが、インディーズで活動する監督コンビの代表作が、ついに一般公開になったということらしい。2008年制作でロカルノ国際映画祭招待上映の『ニコトコ島』と、2012年制作でローマ国際映画祭招待上映の『石と歌とペタ』の2作品である。

まず、ちょっとだけ愚痴を言います。この特集上映、2作品を1日ごとに交互に上映しているのである。えっと、1日に2本とも上映することはできなかったのかな。2本あわせても2時間無いんだし、できたと思うんだけど。2本立てにしろとまでは言わないが。イメフォに2日連続で行くのは、けっこう億劫なのだ。渋谷駅からだと、坂の上だし。

おそらく事情があったのだろうし、こっちの勝手な都合で文句を言うのも大人げないのだが。短い作品とはいえ1本につき1200円という良心的な料金なのは嬉しいし。それにしても、深夜のイメフォ近辺から感じる禍々しさってなんなんだろう。

はい、作品の話に戻します。ストーリーはあって無いようなもので、3人の男(場合によっては性別不明かもしれないが、とりあえず)が、喋りながらふらふらとどこかを彷徨っているだけ。『ニコトコ島』と『石と歌とペタ』、どっちも同じ。そしてこれが、意外なほど退屈さを感じさせないのである。

この映画、3人の男が歩いたり休んだり駄弁ったり歌ったりと、何も積み重ならないことを延々としていることで、観ているこちら側にまでモラトリアムを与えてくれる。特に就職してからは、なかなか体感することのできなかった「無意味な時を過ごす」ということを、久々にすることができた。皮肉ではなく、人生には必要な時間である。

池に向かって石を投げて、のけぞりながらグルグル手を回す。時間を持て余した小学生が退屈しのぎに遊んでいるようで、同時に自分にも子供の頃にはそういう時間の潰し方をしていたなあと思い出す。そうすることで、今現在においても、映画館の中でいっときのモラトリアムを感じることができるのだ。これが癒しでなくてなんだろうか。

あと、『ニコトコ島』は前編モノクロで、コントラストが非常に強い映像なのだが、そのせいか森の中を歩くシーンでは水木しげるの描く漫画の1コマみたいになっていた。いやまあ、それだけなんだけど。

 

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