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【洋画】『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』--無関係なものを強引に絡めるだけでは、何も生まれない

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監督:アレックス・カーツマン
配給:東宝東和/公開:2017年7月28日/上映時間:110分
出演:トム・クルーズ、アナベル・ウォーリス、ソフィア・ブテラ、ラッセル・クロウ

 

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55点

かつてメソポタミア文明が栄えていたイラクの地中奥深くで、古代エジプトの王女の棺が発見される。って、高校生の時にちゃんと世界史の授業を聞いていた人なら、この導入で唖然としないか。エジプト文明とメソポタミア文明は交流はあったそうだが、でかい棺を持って徒歩で移動するには相当な距離だし、そもそも人様の文明の地下に巨大な墓所を作って呪われた王女を埋葬するって、かなり失礼な話じゃないか。

何より驚くことに、このとってつけた文明ミックス要素は、その後の展開とはなんら関係がない。別に棺が発見される場所がメソポタミア文明のあったイラクである必要性はない。それこそエジプトだって問題ない。考えられる理由は、映画の掴みとして紛争地帯で暴れるトム・クルーズを撮りたかったから、くらいしか思いつかない。たいしたシーンじゃなったけど。

第2回十字軍(なぜ、第2回をチョイスした?)を無意味かつ強引に絡めるなど、とってつけた感が半端ない。そしてこれは、ユニバーサル・スタジオの一大プロジェクト「ダーク・ユニバース」に感じるものと通じる。なんでもかんでも絡めればいいんじゃないよ、ということ。

「ダーク・ユニバース」とは、ユニバーサル・スタジオが誇るクラシック・モンスターを寄せ集めて新しい作品を作ろうというプロジェクトで、『ザ・マミー』は、その第一弾。今回のミイラに続いて、フランケンシュタインの怪物、透明人間がすでに控えており、そのあとは狼男とかドラキュラとかオペラ座の怪人とかが出てくるらしい。

それらって別にユニバーサル・スタジオが映画化の権利を独占しているキャラクターでもない気もするし(知らないけど)、そもそも他社のアメコミ原作モノとかと違って、固有の存在という感じがしない。フランケンシュタインの怪物も狼男もドラキュラも、すでに認知度が一般名詞の域なので、集まったところで西洋版の妖怪大戦争という以上の意味が見つけにくい。auのCMでやってる「おとぎ話のキャラ大集合」みたいなもんだ。

『ザ・マミー』に話を戻すと、ミイラのほかにはジキル博士(ラッセル・クロウ)が登場する。「ダーク・ユニバース」プロジェクトのレギュラーキャラクターらしく、今回は顔見せの意味もあるのだろう。だが単体の作品として見れば、やっぱりとってつけた無関係のキャラを絡めているだけ、という印象が強い。

関係が無いもんな、エジプトのミイラとジキル博士は。ジキル博士が(名前の時点でネタバレだが)ハイド氏になってトム・クルーズに襲いかかるシーンも、そのアクション自体はともかくとして、メインのストーリーとは一切関係がないし。あと、現代に蘇ったエジプトの王女(ソフィア・ブテラ)は、何ができて何ができないのかはハッキリしてほしい。まあ、これはこの手のハリウッド大作映画にありがちなことだけど。

 

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