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【邦画】『アリーキャット』--丁寧な作りで盛り上げるバディものの傑作

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監督:榊英雄/脚本:清水匡
配給:アークエンタテイメント/公開:2017年7月15日/上映時間:129分
出演:窪塚洋介、降谷建志、市川由衣、品川祐、柳英里紗、火野正平

 

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71点
丁寧な作りである。拳銃の扱いひとつとっても、丁寧だ。今の日本を舞台にした場合、拳銃の存在を自然に出すのって容易ではない。本作ではひとつづつ丁寧に処理することで、主人公が拳銃を手に入れ、ぶっ放すところまで、違和感なくスムーズに作りこんでいる。

主演は窪塚洋介と降谷建志というバディもの。それぞれ警備会社のアルバイトと自動車整備工場の社員であり、最近よくある「地方都市の底辺の若者の話」みたいな初期設定だが、その辺は強調されない。なかば偶然の流れで市川由衣演じる女と関わることで、物語はとんでもない方向へ転がっていき、2人は次第に大きなものと対峙せざるを得なくなる。

降谷建志の、難しいこと考えていなくて思いのまま突っ走る感じは良かった。思い出したくない過去やらなんやらで常にモヤモヤ中の窪塚洋介が、降谷建志の純粋な突き抜けっぷりに次第に感化されていき、最後には大きな決断をするに至るのが、成長譚としてアがる。後半なのでネタバレ回避のため曖昧に書くが、それまでとは逆に降谷建志が黙り窪塚洋介だけが喋り続けるあの車のシーンでは、観ているこっちもボルテージが高まってくる。

ラストに説明がもう少し欲しい(子供の今後とか)とは思ったが、まあいいや。後半はけっこう人が殺されるのだが、それぞれに何かしらの意味があるのも、よくできている。「人を自らの手で殺すことで一つ上のステージに行ける」というこの手の映画の法則が今回も発揮されていた。

最後に、この映画の一番の魅力。前振りなく何度も現れる品川祐(市川由衣の元夫)のサイコぶりが説明不要で恐ろしかった。おしゃべりクソ野郎にあんまりしゃべらせないというだけで、ここまで恐怖を生み出せるのか。少なくともここ数年に観た邦画の中では、断トツのサイコキラーである。これまで品川祐が映画界でしてきた仕事の中で、間違いなく一番だ。

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