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【邦画】『シン・ゴジラ』--史上初、コンクリートポンプ車が大活躍する映画

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総監督・脚本・編集:庵野秀明/監督・特技監督:樋口真嗣
准監督・特技総括・B班監督:尾上克郎/C班監督:石田雄介
配給:東宝/公開:2016年7月29日/上映時間:120分
出演:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、高良健吾、松尾諭

 

82点
まず、とにかくまず最初に、これだけは言わせてくれ。本作は、史上初、コンクリートポンプ車が大活躍する映画だということを。数ある重機の中でも地味な存在で、見た目もキャッチーさに欠けていて、ただ高いところにコンクリートを送るためだけの存在が、こんなにも脚光を浴びる日が来るとは。仕事柄、しょっちゅう目にしている車なのだが、まさかコンクリートポンプ車をカッコいいと思う日が来るなんて夢にも思わなかった。

劇中でのコンクリートポンプ車は、普段の業務ではありえない状況下で使用しているので、よほど熟練したオペレーターが操作しているのだろう。あれ、アームを伸ばすところよりも、足場も悪く狭い場所に何台も密集して停車させてトリガーを伸ばすところが相当な難度だ(しかもゴジラの動きが予測不可能なため、停車位置もその都度決めていたはず)。自衛隊の統合幕僚長(國村隼)は、作戦決行前に「既に隊員は遠隔操縦をマスターしている」という旨の発言をしているが、あれも遠隔なのか。きっとポンプ車を操作していたのは自衛隊員ではなく、ボクと同じ建築現場でも働いたことのあるオッサンが、民間の有志として志願して作戦に参加していたに違いない。そう信じたい。

 

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小学生がこの映画を観て、ブルドーザーやバックホウと同じようにコンクリートポンプ車も好きになってくれればこれほど嬉しいことはない。で、ほとんどの人にとってはどうでもいいコンクリートポンプ車のことはさておき、まだ公開1週間しか経っていない『シン・ゴジラ』は、肯定・否定どちらにおいても、すでにあらかたの批評は出尽くされてしまったようである。「ゴジラは○○のメタファーだ!」とか主張しても、もはや陳腐なだけだ。以下、ボクが思うことを書き連ねてみるが、おそらくそれも陳腐な論理のひとつとなるだけだろう。

ゴジラの存在以外は細部に至るまでリアリティを追求した『シン・ゴジラ』では、意図的に最低限しか描かれなかったものが幾つかある。例えば東京都知事(光石研)の存在感の無さは、現実に即しているのかもしれない。官邸内で言えば野党が一切登場しないのは気になるところ。そういえば皇居も甚大な被害にあっていると想像されるが、皇族の方々は避難できたのだろうか。あとは多くの人が指摘するように一般庶民の描写が少ない。ゴジラお約束の「逃げ惑う民衆」や、最近のパニック映画ではお馴染みの「スマホを向ける群衆」「更新され続けるtwitter」なんかはあるのだが、官邸描写の添え物レベルに留まっている印象は避けがたい。

ただ本作は、最小限の描写で、庶民の存在を劇中で忘れさせないような作りになっていると思う。たった1箇所、ある「名も無き庶民の死」のシーン(娯楽映画の範疇からすれば相当ショッキングなシーンだ)が前半にあるおかげで、その後のゴジラ快進撃やガレキの描写からも「庶民の死」が常に脳内に付きまとうようになっている。同時に、官邸内の一挙手一投足が「庶民の死」と直結していることが示され、いやがおうにも緊張感は増していく。

もうひとつ、官邸と庶民が直結していると思わされるのが、直接の描写は無いにも関わらず「名も無き庶民」がこの作戦に参加していると暗示される箇所がいくつもあるところ。ボクは仕事柄、コンクリートポンプ車のオペレーターに勝手に親近感を覚えたが、例えば「無人在来線爆弾」(しかし凄い名称だ)や、化学プラント工場の情景描写から、誰かしら近い人間を思い浮かべる人もいるだろう。官邸の中という閉じた空間のドラマと思わせておいて、暗に庶民との距離の近さを示している。

ところで、本作ではマスコミの存在が非常に希薄なのも特徴のひとつである。ニュース映像や音声が受動的に挟まれる程度で、後半になってからはほぼ存在が無視されている(ヤシオリ作戦の時、どこで何をしていたのか)。官邸と庶民を仲介するのがマスコミであるというのが定説だが、むしろ官邸と庶民を分断する邪魔な存在だということでのご退場ということなのだろうか。

それにしても、こういうポリティカルな話はしたくなかったのだが、結果的にそうなってしまった。なぜなんだ。

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