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【小説】最近読んだ小説レビュー --原田マハ、折原一、早坂吝

ゴールデンウィークが明けてから異常に忙しいのと精神的にちょっと参っているのとアニメ『迷家』がどっちの方向で行きたいのかいまだはっきりしないのとか色々あって当ブログの更新も滞りがちになっています。過去の経験則からすると、たぶんあと1ヶ月くらいはこんな感じが続きそうです。大分の映画館巡りの話もあるんだけど、なかなかまとめる時間が取れない。とりあえず今回は、最近読んだ小説の感想です。

 

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原田マハ『暗幕のゲルニカ』

61点
第1回日本ラブストーリー大賞受賞という経歴が邪魔にも思える著者による美術ミステリー。ピカソによる「ゲルニカ」制作から公開までの様子を当時の愛人ドラ・マールの視点から追った20世紀のパートと、ピカソ展を企画するうちに大きなトラブルに巻き込まれていくMOMAキュレーターの女性が主人公の21世紀パートが交互に書かれる。「暗幕」をキーに2つの時代が対比されていく構図はさすが。ほぼ実在の人物が登場する20世紀パートは、多少なりとも美術に興味のある人なら充分に楽しめる。ただ、国際レベルの大騒動が起こっている21世紀パートには、なぜかわくわくしない。「ゲルニカ」を取り扱う以上は避けられない強大な政治性に真正面から立ち向かうも、無念の敗北をしているようだからか。

暗幕のゲルニカ

暗幕のゲルニカ

 

 

 

折原一『死仮面』

55点
叙述トリックの名手であるベテランミステリ作家の最新作。この著者の作品は数作しか読んでいないのだが、おどろおどろしい雰囲気を保ちつつも、またいつもの入れ子構造かという印象。持ちネタなんだろうけど、こうも似たようなのばかりだと、次からこの著者の本を手に取る気が失せそうにもなる。どちらかが作中作であるかのように書かれる2つの話は、ラストにおいて強引にくっつけられる。たしかにそれは本格ミステリにおいては許されている行為なのだが、そこからカタルシスが生まれるほどでもなく、何かしらの甘えを感じてしまう。

死仮面

死仮面

 

 

 

早坂吝『誰も僕を裁けない』

76点
第50回メフィスト賞受賞作家の最新作。なんかここではメフィスト賞受賞者の作品をよく取り上げている気がする。で、これ、意外な掘り出し物。青春小説としてもまとまっているし、キャラクター小説としても優秀だし、主人公の一人が逮捕されてからの所作は実用性に富んでいる。何よりミステリとしての要素がこれでもかと大量に挿入され、伏線だって気持ちいいくらいに大盤振る舞いで、さらにはトリックそのものが社会の矛盾までえぐり出している。それでいて、文書は視点となる登場人物にあわせているため、非常に読みやすい。もう大枠から細部に至るまで隙がなさすぎる。なぜこんな傑作がノベルス版形で900円(税別)なんて安値で売られているのか不思議でしょうがない。

誰も僕を裁けない (講談社ノベルス)

誰も僕を裁けない (講談社ノベルス)

 

 

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