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【邦画】『女子高』--一般人が拳銃を持っていることに関して誰も気にしないってどういう世界?

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監督・脚本:山本浩貴
配給:ユナイテッドエンタテインメント/公開:2016年4月9日/上映時間:100分
出演:峯岸みなみ、高田里穂、泉はる、中山絵梨奈、北山詩織

 

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43点
深夜の高校の門を乗り越え、そっと忍び込むひとりの若い女。暗い廊下を歩く姿をカメラは映す。そして教室の中に入り電気をつける。整然と並べられた机の上に大量のホコリが積もっている。(ちょっと省略して…)廃校となった校舎で、賑やかにパーティーを始める6人の女。7年前にこの女子高を卒業した仲良しクラブの面々である。思い度話の最中、突然電気が消え、「バンッ」という大きな音。そして電気をつけると参加者のひとりである美冬が血だまりの中で倒れていて、傍らには拳銃が落ちていた。

うん、この映画が始まってからずっとツッコミを我慢していたよ。簡単に廃校に忍び込めることとか、7年前から放置されているのにちゃんと通電していることとか、机が整然と並んでいることとか、このあと別の教室に移動するんだけどそこにはホコリが全く積もっていないこととか諸々。そういうのはちっちゃなことだと自分に言い聞かせたよ。でもさあ、拳銃が落ちていたなら、その異常事態にちょっとは触れようよ。最初は仲間が死んだことにパニックになって拳銃にまで気が回らないのもわかるけど、このあと冷静になっても拳銃の出処は全く話題にならないってどうなの。一般人が拳銃を持っていることに関して誰も気にしないってどういう世界? 福岡が舞台なの?

ここからは事件の起きた「現在」と女子高時代の「過去」が交互に繰り返されるというパターンになる。よくある「あの頃は表向きはみんな仲良さそうだったけど、実は裏では…」みたいな女の怖さがテーマなのかもしれないが、これが全く伝わらない。回想である「過去」のほうは、美冬が転校してくるところから始まる。香月(峯岸みなみ。この話の主人公)が所属している仲良しクラブに入れたいとメンバーに美冬を紹介すると、ひとりがタバスコの瓶を差し出して「これ1本飲んだら入れてやってもいい」とか言う。裏ではどうのこうのではなく、完全に表立った転校生イジメである。美冬はちゃんと飲んだあとトイレに駆け込み、「あいつ、面白い」みたいな感じで仲間に入れてもらえる。このあらすじだけ読んでいると酷い話だが、作中では誰一人として悪意を自覚していない「ちょっとした思い出」って扱いだからね。すげえな。

そしてこの回想、個々のエピソードがほとんど繋がっていないのだ。廃校に集まったメンバーと美冬とのわだかまりが発生する「過去」のエピソードが並べてあって、「現在」における事件の動機ではないかってことなんだけど、だとしたら卒業式の日にメンバー6人で和気藹々と踊っているのはどういうことなのか。なんでみんなの前で援交を暴露した人と息を合わせて踊れるのか。このダンスシーン、メンバー同士のギスギスが何も解決していないタイミングで挿入されるから、不可解さしか感じ取れない。

あと美冬は敵対しているクラスの女(この人はクラブのメンバーではない)に嵌められてレイプの被害に遭っているのだが、この件は本筋と一切関係がない。ここまでくると斬新ですらある。そういえばこれのように、「現在」のシーンで犯人探しをしている5人が全く登場しない「過去」のシーンもけっこうあるんだけど、あれは誰の回想なんだ? 「現在」と「過去」を繰り返すのがどういう手法なのか、根本的にわかっていないんだな。辻村深月の本とか読んで勉強して、お願いだから。

「現在」のほうも酷くて、とにかくみんな叫ぶ叫ぶ。迫真の演技って、でかい声出すことじゃないからね。そして、説明セリフももちろんだが、安い純文学みたいな長セリフも多い。「現実は虚構になった」とか、会話中の発言としてありえないでしょ。そしてまた主演の峯岸みなみがとんでもないほどの舌っ足らずで、長セリフだと何言ってるのかわからなくなる。一応ボクは坊主になる前もなった後も一貫して峯岸みなみのファンだと自認しているけど、ダンスとバラエティ番組での対応が素晴らしいと思っているわけで、演技は難しいんじゃないかなあ。『もしドラ』は、そんなに喋ってなかったから気にならなかったけど。

まあ事件のほうは「何それ?」って感じで真相が明らかになるのだが、それより最後に拳銃がもう一丁出てきたのには驚いた。リアリティってなんだろうね。

 

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