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【邦画】『リップヴァンウィンクルの花嫁』--世の新郎・新婦たちは、こんな気味悪いもののために大金をはたいているのか

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監督・脚本:岩井俊二
配給:東映/公開:2016年3月26日/上映時間:180分
出演:黒木華、綾野剛、Cocco、原日出子、りりィ

 

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80点
本作には、結婚式のシーンが2回登場する。1度目は、黒木華(うわ、ちゃんと「くろきはる」で変換された!)演じる皆川七海と、出会い系サイトで出会った夫との結婚式。七海は旦那から参加する親族の少なさを愚痴られていて、当日は代理出席のサービスを頼んでいる。この結婚式のシーン、新郎の友人による寒々しい余興があったり、両親への挨拶の前にはいきなり「子供時代の新郎・新婦」と「学生時代の新郎・新婦」役の人が登場して、なんか感動的なことを言ったりしていた。司会の軽部真一がいつもの死んだ目で段取り通りに淡々と進行していくのも相まって、はたから見ると非常に気味の悪い異空間であった。ボクは、いわゆる披露宴と呼ばれるものに参加したことがないのでわからないのだが、実際もこんな感じなのだろうか。世の新郎・新婦たちは、こんな気味悪いもののために大金をはたいているのか。

2度目は、いろいろあって離婚した七海が、代理出席のバイトとして参加する結婚式。ここでCocco演じる里中真白と姉妹役として出会い、意気投合する。七海は、架空の他人を演じたこの結婚式を、真白とともに満喫している。ピースして写真を撮ったりしてるし。映画が始まって1時間以上経っているが、ずっと流されるままだった七海が本心から笑った最初のシーンである。

1度目の結婚式では、主役にもかかわらず所在無さげだった七海が、完全なる偽物として参加した2度目では本気で楽しんでいる。岩井俊二監督による、結婚式という謎の風習に対する悪意が満ち溢れている。

そしていろいろあって親友となった七海と真白は、通りかかった店でウエディングドレスを1着づつ買う。なんか店の人も当たり前に接していたけど、ウエディングドレスを衝動買いして着たまま帰る人ってそんなに珍しくないのか。この映画、ボクの知らないことばっかりだ。

ともかく、寓意を大量に孕んだ作品であるため、結婚式ひとつとってもいくらでも考察ができてしまう。同じように、金とか家族とかAVとか、あらゆるものが寓意として存在している。この「寓意のオモチャ箱」のようにぐちゃぐちゃに詰め込んだ感じが、岩井俊二監督の本領であろう。

最後に、綾野剛が演じる安室行舛(あむろ・ゆきます)と名乗る得体の知れない「なんでも屋」について。裏で糸を引いて七海を何度も騙すようなことをしているが、基本的には離婚に持っていくのも強引にバイトに誘うも、良かれと思ってやっている。なんせ冒頭では声が小さいとからかわれていた七海は、安室と関わることで最終的には自ら大きな声を出せるまでに成長しているのだから。この安室行舛というキャラクター、今までの映画の世界にあまり出てこなかった斬新なものである。だからこそ、この安室が作中で唯一本心を見せる、ある衝撃的なシーンが際立ってくるのであろう。

 

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