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【邦画】『ライチ☆光クラブ』--内藤瑛亮監督作品にしては、わかりやすい話になってしまっている

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監督:内藤瑛亮/脚本:冨永圭祐,内藤瑛亮/原作:古屋兎丸
配給:日活/公開:2016年2月13日/上映時間:112分
出演:野村周平、古川雄輝、中条あやみ、間宮祥太朗、池田純矢

 

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61点
監督が内藤瑛亮で、原作が古屋兎丸で、R15+指定である。そのコンボから予想される通り、血液や臓物がわんさか登場する作品だが、バルト9の客席をほぼ満員に埋めた若い女性たちには予想外だったのかもしれない。上映後、灯りが付いたと同時に館内全体を覆ったざわめきは、映画館体験で最高の瞬間である「観客全員がひとつになる」という感覚にちょっとだけ近いものがあった。こういう体験が得られるから、映画館通いはやめられない。

さて、『先生を流産させる会』『パズル』など衝撃の作品を発表している内藤瑛亮監督の最新作が、本作『ライチ☆光クラブ』。大人の体を汚らわしいものとし、成長を拒否する少年たちによる秘密組織「光クラブ」の物語である。物語の舞台における世界観はよくわからないが、ディストピア風の近未来、という感じか。汚らわしい大人を象徴するものとして冒頭から臓物が画面に映し出され、それがラストへの伏線となっている。ただのグロ趣味ではなく、物語の論理的に必要とされる臓物だ。

まあそんな調子で、ショッキングな描写によって観ているものの価値観をえぐってくる手腕は今回も健在である。そういった好ポイントがあるのは前提としたうえで、あくまで内藤監督の過去作に比べると、どうしても気になる点がある。いつもはあるはずの、ワケのわからない狂気が、今回は感じられないのだ。

理由は簡単で、すべての人物の行動や思考がいずれも、我々の理解できる範疇にあるためである。本作の核は2つある。ひとつはライチと名付けられるロボットが、「自分は人間である」とプログラミングされることで人の心らしきものを宿すところ。もう一つが、ゼナという名の光クラブのリーダーが、全てを悟っているような風を装っていたにも関わらず、自分の思い通りにいかないことであっけなく精神が崩壊していくところ。どちらも、似た話がいくつもあるような、非常にわかりやすい話だ。このおかげで、壮絶な描写が連続するラストシーンも、筋に関しては「あれがああだから、こうなるよな」と、誰でも納得できてしまう。

『先生を流産させる会』も『パズル』も、最後まで主人公を理解することができず、それゆえ不条理に暴走する物語を呆然と眺めるしかなかった。だからこそ、現実世界と地続きにある狂気を感じさせ、強大なインパクトを植え付けてきた。今回は、それが無かったのが、内藤監督作としては少し物足りない。あと、少女という存在に過剰な神秘性を見出しているのも、内藤監督らしくないなあ、と。原作があるから仕方ないのかもしれないが。

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原作

ライチ☆光クラブ (f×COMICS)

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  • 作者: 古屋兎丸,東京グランギニョル「ライチ光クラブ」
  • 出版社/メーカー: 太田出版
  • 発売日: 2006/06/01
  • メディア: 単行本
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