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【邦画】『放送禁止 洗脳 ~邪悪なる鉄のイメージ~』--TVと映画の違いを考えてみた

映画 邦画

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『放送禁止』とは、深夜に突如放送された、フジテレビのフェイクドキュメンタリーのシリーズである。心霊現象だったりストーカーだったりと、一見すると単なるありがちなドキュメント番組なのだが、画面の隅に写る伏線などによって「恐ろしい真実」が隠されている、という内容。心霊現象だと思っていたものが実は人為的なものだったりとか。当初は「恐ろしい真実」が判明することによるゾクゾク感が話題となったが、シリーズ化するにつれて伏線を探して謎解きをするという楽しみ方のほうへとシフトしていった。そして、あんまりパターンも無くなってきた頃、なんと映画化と相成った。本作は、そんな映画としては第3作目である。

2作目は観ていないので申し訳ないが、映画1作目は単純にひどかった。無意味に空撮とかやってスケールの大きさのみでTVと映画の差別化を図ろうとする愚行に加え、TV放映版のネタばらしを盛大にやってしまうという失態を犯す(「恐ろしい真実」は仄めかすだけなのが、いいところなのに)。多くのTVドラマ劇場版と同じように、TVと映画の違いを何も考えていないことが露呈していた。

とはいってもボクもTVと映画の違いとはなんなのか、明確にはわかっていない。今回の第3作『放送禁止 洗脳 ~邪悪なる鉄のイメージ~』を観ながら、なんとなく考えてみた。

本作を観ていて気になるのはカメラワークである。ジャーナリストが友人の洗脳を解くためにカウンセリングを受けさせ、その記録のためにカメラを回しているという設定だが、妙にズームイン&ズームアウトを繰り返して一定せず、またアングルも常に動いている。かといって素人が適当にカメラをいじっているようでもではなく、映像はかなりスムーズだ。そんなにドキュメンタリー映画にもフェイクドキュメンタリー映画にも精通しているわけではないが、こんな動きはあまり見ない。むしろ小規模の劇映画にありがちな手持ちカメラの映像みたい。現実的に考えて、脱洗脳のカウンセリングを受けている人の周囲をでかいカメラを持った人がウロウロしてるのは不自然だろう。ジャーナリストは、カウンセリングの記録と並行して、友人の家で起こった火事の原因も調査するが、こちらは関係者へ取材する際にカバンに隠したカメラで撮影しているという体にしている。こっちのほうが、とりあえずリアリティはある。

TVだったら、そんなに気にならなかったかもしれないが、映画館の大きなスクリーンに映されることで、カメラがどの位置にあってどのようにズームされるかは、多くの観客が気にするようになる。カメラワークへの注視の度合いというのが、ひとつ映画とTVの違いとして挙げられよう。

無意味なスケールアップは行わず、何度かの逆転の繰り返しと結構マジな修羅場を挿入して持たせつつ、「恐ろしい真実」の新しいパターンも提示してきた本作。おそらく深夜にTVで見たら面白かっただろう。でもやっぱり、映画館のスクリーンには耐えられなかったということだろうか。少し前に白石晃士というフェイクドキュメンタリーの天才の作品が公開されたのも、分が悪かったかもしれない。

ついでながら、本作を観た人全員が思うことを代表して言いますが、あの西洋甲冑なんだったんだよ。

 

 

放送禁止 DVD封印BOX

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    TV放送時代の傑作