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ヤガンEX

映画とか漫画とか似顔絵とか

【都市】【建築】8年ぶりくらいに地元(長野県茅野市)に戻ってみたが、何も起こらなかった件 その2

都市 建築

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線路に沿って配置された、全面ガラス張りの通路

 

 さて、8年ぶりの地元帰省ということで、さっそく思い出の地を巡って郷愁に浸りたいところだが、その前に片付けなくてはいけない問題がある。茅野駅に併設された茅野市民館のことである。というより、茅野駅と市民館をつなぐ通路だ。これはボクが茅野市に住んでいた時にはまだ無かった建築物なので、今回ちゃんと見てみることにした。

 

 竣工は2005年で、設計は古谷誠章。2007年に日本建築学会賞を受賞している。雑誌「新建築」でも巻頭特集されたりと、それなりに業界的には話題になった。

 

トップの写真は、駅舎側から撮ったもの。奥に見える四角い建物が市民館。それと駅舎を繋ぐのが、両面ともに全面ガラス張りの通路となっている。たぶん、向こう側の山並みが見えるとか、そういう意図なんだと思う(この日は雨で、そもそも山が見えなかったが)。ちなみに通路の下は自転車置き場になっている。自転車置き場はどうしても乱雑な印象を与えがちだが、線路&ガラス張りの建築&自転車置き場の3つが並列に配置されていることで、自転車さえも同一空間上に綺麗に収まっている印象を受ける。ここはちょっと感心した。(その割には、それが表現された写真を撮ってないのだが)

 

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市民館側から見た外観。排煙窓も縁を黒くしたりとデザインの一部にしようと試みているが、もうひと捻り欲しかったかも。

 

地方都市のハコモノは、とかく景観をダメにするだのなんだのと批判されがちだが、この通路に関しては、さして嫌な印象を受けなかった。ひとつは茅野市が観光地であり、観光客が駅を出て目につく建物に非日常感があることは決してマイナスではないこと。もう一つは、茅野市のイメージである豊かな自然や高原野菜の畑といった風景は、駅からそれなりに離れないと見られないし、むしろ駅周辺は諏訪地方のもうひとつのイメージ「精密機器の工場地帯」に近く、この通路はむしろそのイメージを強化している。

 

 

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通路の内観(上:駅舎側から/下:市民館側から)

 

 さて、通路内部である。通路に並ぶように、図書室、音楽スタジオ(練習室)、トイレが配置されている。なんか建築学科の大学生が卒業制作で考えそうなレイアウトだなあって思ってしまったのは内緒だ。ただかつて住んでた人の実感として、駅に図書室(勉強できる場)と音楽スタジオがあるのは、たしかに便利ではあると思う。高校生の利用も多い駅だし、なんか知らんがクラスのイケてる人はみんな音楽やってたし。

 

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上、中:図書室/下:トイレ

 

このトイレは、無意味にバカバカしくて、ちょっと好きだ。無理にコンセプトにはめ込もうとしておかしくなってしまったような感じで、たぶん卒業制作だったら講師からツッコミが入るところだが、建築ってこういう論理から外れてしまったところこそ残ると思っている。そしてこの自論は、誰にも共感されないことも付け加えておく。

 

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駐車場から見た外観

 

図書館利用者は、ファサードの一部に勝手にされてしまっている。建物の手前(植栽)と、ガラスに映る景色と、建物内部と、建物の向こう側の景色が、見事なコントラストになっている、ということなんだろうか。

 

なお、全面ガラス張り建築に必ず伴う「バックヤードまで外に丸見え」問題は、この通路でも多少発生していました。ただ、それ以上に大問題がありまして、それは・・・

 

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写真じゃわかりづらいですが、図書室の本、どれも背表紙が日光で妬けてボロボロなんです。全面ガラス張りに図書室は無謀ですよ、古谷さん。

 

(つづく)