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ヤガンEX

映画とか漫画とか似顔絵とか

【邦画】『唇はどこ?』--虚実を超えた先に起こる、小さな小さな奇跡

監督、脚本、編集:長崎俊一/撮影監督:渡部眞/製作国:日本配給:名古屋学芸大学/公開:2015年12月12日/上映時間:98分出演/久具巨林、廣瀬菜都美、宮谷達也、鈴木理恵子、山本一樹 長崎俊一監督『少女たちの羅針盤』は傑作だった。2011年のベスト邦画だった、と…

【邦画/アニメ】『亜人 第1部 ‐衝動‐』--原作の欠点を修正したら、普通の話になっちゃった

総監督:瀬下寛之/監督:安藤裕章/原作:桜井画門製作国:日本/配給:東宝映像事業部/公開:2015年11月27日 桜井画門の漫画『亜人』は、現在7巻まで出ている大ヒットコミック。何をしても生き返る不死身の「亜人」である高校生の少年・永井圭が、日本全体を相手に…

【邦画】『愛を語れば変態ですか』--日本映画界は黒川芽以に何を求めているのだろう

予備知識ゼロで観たのだが、上映開始してから数分で、たぶん元ネタは演劇だろうなと思った。あとで調べてみたら、やっぱりそうだった。ほとんど同じ場所で物語が進むからだけではない。登場キャラクターの造型や会話の仕方が、どうにもこうにも映画ではなく…

【邦画】『春子超常現象研究所』--『ギャラクシー街道』つまらないとか言ってる人、一度こういうの観てほしい

一人暮らしの女性の部屋のテレビが、ある日突然心と体を持ち、人間と機械による奇妙な同居生活が始まるラブコメディ。監督・脚本は、2014年に『さまよう小指』で「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」グランプリを受賞した竹葉リサ。ごめんなさい、『さ…

【邦画】『FOUJITA』--藤田嗣治はパリでも戦時中の日本でも、基本的に何も変わっていない

第二次大戦中に軍の指示に従って戦争画を描き続けた藤田嗣治は戦争の被害者か加害者か、いまだに議論は割れている。藤田を擁護する意見に多いのは、『アッツ島玉砕の図』のどこが戦意高揚になるんだ、あれ見たら戦争を嫌悪するだろ、というもの。ただ、あの…

【47都道府県すべての映画館で映画を観る企画】vol.1 茨城編(後編)--『ガルパン』聖地・大洗で途方にくれる

大洗の海は荒れまくっていた ↓前編はこちら yagan.hatenablog.com さて、笠間の映画館で『天空の蜂』を観ただけで東京に帰るのももったいないので、ついでに水戸駅前の漫画喫茶で1泊して、ついでに朝イチでシネプレックス水戸で前日公開の『ガールズ&パン…

【邦画/アニメ】『ガールズ&パンツァー 劇場版』--アニメーションの力って、こういうことなんだよな

ボクは『ガールズ&パンツァー』のTVアニメシリーズを見たとき、そんなにハマらなかった。で、劇場版を観た感想だけど、これが予想をはるかに超えて最高だった。戦車そのもののかっこよさはもとより、状況に応じた臨機応変な作戦はひとつひとつがドラマチ…

【邦画】『ディアーディアー』--人には誰しも、ふるさとがあり、どこに行こうが一生逃れることはできない

最近の邦画には、「ふるさと足枷」モノというジャンルがあると感じる。いわゆる「ご当地映画」という、地方自治体が主導となったのか誰かに騙されたのかわからないが、地元の名産品やら観光スポットをただ詰め込んだだけの映画が次から次へと公開される中、…

【邦画】『ギャラクシー街道』--三谷幸喜ほど「映画的」にこだわる人も、そうはいない

西暦2265年、宇宙にある幹線道路「ギャラクシー街道」の真ん中辺りに店を構える寂れたハンバーガーショップを舞台としたSFコメディ。といっても宇宙空間における科学的考察は皆無(どれくらい皆無かというと、宇宙空間を平泳ぎの要領で前に進んだりするく…

【邦画】『岸辺の旅』--多くの映画において、幽霊とは「過去の呪縛」の実体化である

黒沢清おなじみの「現実感ありすぎる幽霊」が今回も登場する。人間と同じように食事をしたり仕事をしたりして、幽霊らしいのは家に上がる時に靴を脱ぐのを忘れることくらい。 深津絵里の住むマンションに、3年前に行方不明になった夫・浅野忠信が、唐突かつ…

【邦画】『バクマン。』ーーおそろしく時代錯誤なブラック企業肯定映画

『週刊少年ジャンプ』の3本柱「友情・努力・勝利」を、ジャンプで連載している漫画家を主人公にした話で語り、それをジャンプで連載するという何重もの入れ子構造で話題だった漫画『バクマン。』の、実写映画化である。 もちろんこの映画『バクマン。』もま…

【邦画/アニメ】『バケモノの子』--渋谷の底に渦巻く闇

細田守監督は、自分の好きなものに固執して作品に取り入れるという点で、宮崎駿とよく似ている。宮崎駿の場合、その対象がほとんどの人にとってはどうでもいいものであり、完全な門外漢として「おじいちゃんったら、あいかわらずねえ」という目線で見ること…

【邦画】『脳漿炸裂ガール』--デス・ゲームもので、あとからルールを追加して説明するの、いい加減やめてくれないかな

「人気ボカロ曲『脳漿炸裂ガール』が実写映画化!」という謎のフレーズを目にしたのは今年3月頃だったか。人気ボカロ曲と称されるものは数あれど、中でも断トツで歌詞に物語性のない電波ソングを、なぜ映画にしようと思ったのか。小説にしたものがすでに出…

【邦画】『イニシエーション・ラブ』--80年代の痛々しさと向き合った、映画監督・堤幸彦の最高傑作

※ 直接的なネタバレは避けていますが、少しラストに触れていますので、これから映画を観るまたは原作小説を読む方は、そのあとに当文章をご覧になることをおすすめします。 映画監督・堤幸彦の最高傑作である。堤監督のフィルモグラフィーなんか半分も観てい…

【邦画/ドキュ】『だれも知らない建築のはなし』--安藤忠雄に対する、石山友美監督の優しさ

安藤忠雄と伊東豊雄という日本建築界の現在のトップ2が、国に対して憂うところから、本作は始まる。安藤は東京五輪を例に出して「ヴィジョンがない」と言い、伊東は東日本大震災後の国による近代主義的な対応に「無力感を感じた」と嘆く。 本作は、70年代以…

【邦画】『カニを喰べる。』--日本でロードムービーを撮るのは難しい

日本は、その地理的条件から、ロードムービーを撮るのが難しい。適度に狭く、南北に細長い島国のため、たとえば「余命わずかだけど死ぬ前に一度でいいから海が見たい」と思ったところで、まあ車を1日走らせれば叶ってしまう。スタートが秘境みたいな山奥だ…

【邦画】『25 NIJYU-GO』--温水洋一の圧勝

東映Vシネマ25周年記念作品とのことだが、Vシネマに関する知識がほぼゼロ(作品を通して見たことが一度もない)なので、本作がVシネマ的にどうなのかの判断はできない。25人の豪華キャストというが、知識ゼロのボクでも「Vシネマ俳優」と認識できるのは哀川…

【邦画】『放送禁止 洗脳 ~邪悪なる鉄のイメージ~』--TVと映画の違いを考えてみた

『放送禁止』とは、深夜に突如放送された、フジテレビのフェイクドキュメンタリーのシリーズである。心霊現象だったりストーカーだったりと、一見すると単なるありがちなドキュメント番組なのだが、画面の隅に写る伏線などによって「恐ろしい真実」が隠され…

【邦画】『ふしぎな岬の物語』--吉永小百合が魔女となり周囲の人々を蹂躙するダークファンタジー

女性の高齢者に対して、「カワイイ」と言うなど愛玩動物のように接してしまうことは、ままある。人間性の否定にもなりかねず、時と場合によっては失礼に値することであり、あまり歓迎すべき風潮ではないかも知れない。ただ、存在そのものを商品とする芸能人…

【邦画】『まほろ駅前狂騒曲』--タバコの「意味」が過剰な昨今

似顔絵を描いていて、どうも顔だけでは面白みが出ないときは、昔はよくタバコを手に持たせたり、口にくわえさせたりした。もちろんモデルにもよるが。けれど今は、あまりやらない。手に何か持たせるなら、そのモデルにあったものにしたりする。最近は、タバ…

【邦画】『太陽の坐る場所』--東京に近すぎる地方、山梨県

近年公開された『サウダージ』『もらとりあむタマ子』『太陽の坐る場所』を、山梨3部作と勝手に名付けたい。いずれも、ただ名所や名物を並べただけで粗製濫造される「ご当地映画」とは一線を画し、山梨ならではの土地性を作品内に盛り込んでいるからである…

【邦画】『TOKYO TRIBE』--園子温の片手間仕事?

東日本大震災をきっかけにしておかしくなったり化けの皮が剥がれたりした著名人ってのはたくさんいた。園子温もその一人だと個人的には思っている。『冷たい熱帯魚』(単純にエンタテイメントとして傑作)に至るまでの輝かしい実績は、あの日を境に途絶えてし…

【邦画】『STAND BY ME ドラえもん』--無意識にばらまかれる恐ろしいメッセージ

本作を批判するのは簡単である。世代を超えて愛されている国民的漫画という原作にあぐらをかいて、新たな物語を作る努力を一切していないからである。評判のいいエピソードを適当に見繕って並べただけであり、ひとつのストーリーとしてつなげるための再構成…

【邦画】『リュウグウノツカイ』--不具合のある社会システムには狂気をもって制すべし

アメリカでの実話を基に、小さな港町での女子高生集団妊娠事件を描いた映画。正味60分の短い作品なのだが、最初から最後まで狂気が止まらない。 女子高生たちは毎日のように授業を抜け出して、同じクラスの男子を海に投げ込んだり砂に埋めたりしている。うん…